『VOICE』

柏木広樹 10th Album『VOICE』

HATS UNLIMITED [HUCD-10289]
2019.10.2 release ¥3,000(+tax)

『Spirit of the Forest』Music Video

 “チェロ”の声が心に響く 
 人間の声に最も近い楽器“チェロ”を変幻自在に操り 、
柏木広樹が奏でる“チェロの声”と多彩な“VOICE”とのハーモニー! 

柏木自身の [声] である [チェロ] と様々な声の共演!
NHK『西郷どん』で話題をさらった奄美の唄者・里アンナ、男性コーラスグループ“ザ・ハモーレ・エ・カンターレ”、天使の歌声“フレーベル少年合唱団”など、性別や年代を超えたさまざまな人間の声をフューチャー。
尺八奏者・藤原道山をゲストに迎え、酒麹の声に育まれた、世界に誇る日本酒“羽根屋”テーマソング。
幼少時からの愛読書『ドリトル先生』、森沢明夫による心癒される名作『エミリの小さな包丁』から続く音物語。
盟友・植木昭雄とのチェロ・デュエット、柏木の音楽人生に大きな影響を与えた“YMO”の『東風』のカバーは、自ら演奏を何本も重ねたチェロ・アンサンブルによる意欲作。


森の魂の声を描いたMBC南日本放送『やくしまじかん』テーマソング、さらにボーナストラックとして、日本とフィンランドを繋ぐ映画『雪の華』挿入曲を収録。
シンガーソングライター光田健一(ex.スターダストレビュー)プロデュースのもと、柏木の表情豊かな [チェロ] が歌う、記念すべき10枚目のオリジナル・アルバム!

アルバムに寄せて ー初めにー

自分のアルバムを作り始めて19年、今作で10枚目を迎えることができました。これまでお世話になった皆さま、作品を聴いてくれた皆さまに、心から感謝します。

さて、8枚目のアルバムまではすべてセルフ・プロデュースでやってきたのですが、前作でプロデューサーの光田健一さんにかなりの部分をディレクションしていただきました。その時に痛感したことは、自分を客観的に見るのはやっぱり大変だということ。 そこで、自分のことをよく知ってくれている光田さんに、次は完全にプロデュースしてもらおうと、密かに思っていたことが、今作で実現できました。作曲、演奏以外は全て光田さんにお任せし、僕は完全にチェロの歌い手として挑む!という気持ちで、それが目標でもありました。そして、素晴らしいアレンジとプロデュースをしていただき、今回は歌いきった!という思いがとても強い作品になりました。

また、よく言われていることですが、チェロは人の声にとても近い音色の楽器です。ならば人の声(素晴らしいヴォーカリストたち)と一緒にアルバム『VOICE』を作ろうと思ってスタートしたのですが、レコーディングを進めるうちに、ハッとしました。どんな楽器もそれぞれ演奏している人の『VOICE』ではないかと、改めて気付いたのです。 僕たち演奏家は喋る代わりに、楽器の声を発しているのかなあ?ということを、たくさん感じられたレコーディングでした。打楽器も弦楽器も管楽器も、もちろん歌声も、きっとそれを操る人の『VOICE』だということが、今作を作ってみての結論でした。思えば曲作りに関しても、森や海や空の声、心の声を聴いて作曲しているのかもしれません。

このアルバムを聴いてくださる皆さんに、参加してくれたミュージシャン、エンジニア、スタッフの『VOICE』を感じていただければ幸いです。

2019年10月
CELLO VOICE 柏木広樹

〈収録曲〉

ライフワークとして、アルバム毎に作曲しているドリトル先生シリーズ。 今回は満を持して第1巻『アフリカゆき』に挑戦しました。
前々作では『オシツオサレツ』、前作では『月からの使い』、どちらも曲作りには難しい強敵との戦いでしたが(笑)、今回はドリトル・シリーズの礎となる『アフリカゆき』です。
ドリトル先生一家はどんなに苦労が絶えなくても、そこに心の平和が大きく息づいています。
「アフリカゆき、みんなで行けば怖くない!」というマイペースな一家の雰囲気で、いつの間にか楽しい時間に生まれ変わるのです。
素晴らしいコーラスをありがとう! ザ・ハモーレ・エ・カンターレ!!!!!!!

作曲:柏木広樹 / 編曲:光田健一
Cello:柏木広樹 / Chorus:“ザ・ハモーレ・エ・カンターレ” 光田健一, 長谷川友二, 加藤慶之 & 荒井健一 from RAG FAIR / Piano & Keyboard:光田健一 / Guitar:天野清継 / Bass:鳥越啓介 / Drums:齋藤たかし / Percussion:岡部洋一 / Piccolo & Flute:沢野茜

変拍子でポップな曲を作ろうと思ったら、こんな曲が誕生しました。
この曲は7拍子、6拍子、4拍子と曲中にリズムがクルクル変わっていきますが、演奏している時の心意気はただ一つ「オ〜イエイ!!!」でございます。
タイトルは3拍子と4拍子を組み合わせると、6拍子にも7拍子にもなるよ〜ってことで、こんなタイトルをつけてみました。

作曲:柏木広樹 / 編曲:光田健一
Cello:柏木広樹 / E.Piano, Keyboard & Programming:光田健一 / Guitar:天野清継 / Bass:鳥越啓介 / Drums:齋藤たかし / Percussion:岡部洋一

前作で『Reminiscence ~回想~』が映画「きらきら眼鏡」のテーマソングになったご縁で、映画の原作を書かれた小説家 森沢明夫さんと知り合うことができました。 「きらきら眼鏡」をきっかけに森沢作品のファンになってからというもの、他にも色々と読ませていただいていますが、森沢さんの描く世界観と僕のイメージする音楽の世界観がとても似ているような気がして、どの作品にもメロディをつけたくなります。 本作『エミリの小さな包丁』は、失恋して仕事も居場所も失って心に傷を負った女性が、都会を離れ逃げ込んだ祖父の住む海沿いの街で、少しずつ心が癒やされていくというストーリーです。 この曲ではエミリの心情と、海の広がる風景、おじいさんがエミリに対して想っていることをメロディにしました。 ぜひ小説を読んでみてください。読み終わった時に心がほっこりします。

作曲:柏木広樹 / 編曲:光田健一
Cello:柏木広樹 / Piano:光田健一 / Violin:金子芳子, 川口静華, 徳永友美, 柳原有弥 / Viola:生野正樹, 加藤大輔 / Cello : 西方正輝, 奥泉貴圭 / Contrabass:一本茂樹 / Marimba & Percussion:大場章裕 / Clarinet:高子由佳

初めて里アンナさんの歌声を聴いたとき、大きな衝撃を受けました。
里さんはNHK大河ドラマ「西郷どん」のテーマを歌ったことでも知られていますが、僕としてはその歌声、歌詞を歌い込むメッセージの届け方に感動しました。
今回ご一緒できたことは偶然であり、必然であったのかもしれません。
互いのスタッフが、里さんと僕の音楽でメッセージを作って欲しいと思ったのがきっかけで、僕は里さんの歌声に感動して……音楽をやっていてよかったなあと思える曲ができました。
タイトルの『One』は里さんが付けてくれたのですが、2つの意味があります。
1つは、奄美の言葉で自分のことを「わん」と言うこと。
そしてもう1つは……歌詞の内容から皆さん想像してみてください(笑)。

作詞:里アンナ / 作曲:柏木広樹 / 編曲:光田健一
Cello:柏木広樹 / 唄 & 三線:里アンナ / Piano & Keyboard:光田健一 / Guitar:天野清継 / Bass:鳥越啓介 / Drums:齋藤たかし / Percussion:岡部洋一

【歌詞】
奄美言葉(標準語)

One

ハレイー わんや唄う(私は唄う)
ハレイー うりが わんぬにゅうち(それが私の運命)

だぁからか 聞こえてぃきゅん(どこからか 聞こえてきた)
やぁらか音(優しい音)
海ぬなぁじ うらうらと(海の中を ゆらゆらと)
虹色ぬ鼓動(虹色の鼓動)

一人なんば(一人だけど)
一人やあらん(一人じゃない)
なんがうりゅり(あなたがいる)
生きちゅん証(生きている証)
うがしし(だから)

美ら声や花 きゅらぎゅら(美しい声は花 鮮やかに)
なんぬためじ唄う(あなたのために唄う)

悲しゃる声や月 抱かとぅてぃ(悲しい声は月 包まれて)
なったり唄う(あなたと共に唄う)

はじむぃてぃ立ちゅん光ぬなぁじ(はじめて立った光の中)
懐かしゃ音(懐かしい音)
遙か遠さ 重なり紡がりてぃ(遥か遠く 重なり紡がれた)

道しるべ(道しるべ)
望だむんば(望んだものを)
なんがくりた(あなたがくれた)
生きちゅん証(生きている証)
うりや(それは)

愛しゃん声や海 すくすく(愛しい声は海 深く深く)
なんぬためじ唄う(あなたのために唄う)

熱か声やティダ 囁し(温かい声は太陽 囁いて)
なったり唄う(あなたと共に唄う)

優しか声や風 あすぃでぃ(優しい声は風 戯れて)
なんぬためじ唄う(あなたのために唄う)

喜び声や空 響かし(喜びの声は空 響かせて)
わんぬためじ唄う(私のために唄う)

富山県にある酒造メーカー富美菊酒造「羽根屋」のイメージソングを作りませんかというお話をいただき、日本酒が大好きな自分としてはもちろん、まずは取材に行ってきました。
冬だけでなく一年を通してお酒を作っているということで、僕が伺ったのは夏近しという時期でしたが、曲のイメージにしたのは寒造りと言われる冬場の本格的な仕込み。
仕込みにも立ち会わせていただいて、杜氏さんをはじめスタッフ(意外に若い人が多い)の皆さんが「お前、美味くなれよ〜」って笑顔で、米や酒母と対峙しているのが印象的でした。
羽根屋の仕込みはとても丁寧で、だからこそ大量のお酒はできないのですが、一本一本に愛情を込めて作られています。
この曲を聴きながら、「羽根屋」ぜひ飲んでみて!

作曲:柏木広樹 / 編曲:光田健一
Cello:柏木広樹 / 尺八:藤原道山 / Piano & Keyboard:光田健一 / Percussion:岡部洋一

子供の頃に大ファンだったYMO(イエロー・マジック・オーケストラ)の中で、この曲が一番好きでした。
実はプロデューサーの健ちゃんもYMOのファンで、この曲を取り上げたいと僕が言ったらとても喜んでくれました。
チェロで多重録音するアレンジを当初から考えていて、僕的にはチェロ5本くらいで作るつもりで、途中まで書いた譜面を健ちゃんに送ったのですが、戻ってきた譜面にはチェロ18本、さらに録音当日のアイディアで20本以上のチェロが入ることになりました。
というか、この曲のすべてのサウンドはチェロだけで出来ています!あんな音もこんな音も全部チェロ!
さて、どうやってこの音を出したのでしょうか?想像してみてね。
そのうち、「チェロだけでYMOの『東風』を演奏してみた」映像を作ろうかと思ってます。爆笑必至です!!!
それにしても『東風』は本当に素晴らしい曲だと、改めてつくづく思いました。カバーさせていただけて幸せです!

作曲:坂本龍一 / 編曲:光田健一
Cellos:柏木広樹

人も、その土地も、日本も、世界も、地球も、たゆまなく時を刻んでいる。
そして自然は、人間の行動や季節の移り変わりを、大きな目を見開いてずっと観察していると思う。
だからこそ、人は自然に敬意を払いながら、自分の進むべき方向を見定めて、時には振り返りながら、前を向いて歩いていく。
そんなイメージで作った曲です。
題材となっているのは立山連峰の四季。
山から人々の生活を見ていたらどんな感じなんだろう?と思いながら、メロディを作りました。

作曲:柏木広樹 / 編曲:光田健一
Cello:柏木広樹 / Piano, Keyboard & Programming:光田健一 / Violin & Viola:真部裕 / Flute:沢野茜

MBC南日本放送のラジオ番組「やくしまじかん」のテーマとして作ったこの曲は、屋久島の自然をイメージして作りました。
以前『大地を繋ぐ樹の下で』という曲を作った時には、ガジュマルが群生している場所に、陽の光が無数に差し込んでいるのを見た瞬間にメロディが生まれ、自然とそういう曲になったのですが、今回は雨をテーマに書きました。
屋久島は一年で400日雨が降ると言われるほど雨の多い島ですが、水がなかったら生命は誕生していない、まさに命の源とも考えられるわけです。
近年、大雨など水の災害が多いですが、それ以上にたくさんの恵みを受けているわけで……複雑な心境でもありますが、屋久島は素晴らしいところです。
皆さんも機会があったらぜひ訪れてください。
自分の中に新しい命が吹き込まれたような感じがすると思います。

作曲:柏木広樹 / 編曲:光田健一
Cello:柏木広樹 / Piano:光田健一 / Violin:金子芳子, 川口静華, 徳永友美, 柳原有弥 / Viola:生野正樹, 加藤大輔 / Cello : 西方正輝, 奥泉貴圭 / Contrabass:一本茂樹 / Glockenspiel & Percussion:大場章裕

今回の『VOICE』に欠かせなかったのが、子供たちの声。
特に男性にとって、声変わりする前の声というのは、なかなかなものなのです(笑)。
僕も子供の頃はソプラノの音域がバリバリ出て、モーツァルトの「夜の女王のアリア」とか歌えていました。
この曲はクリスマスの夜、こんなに素敵な声がたくさんの場所で響いていたらいいなあ、との想いで作り始めましたが、子供たちの清らかな歌声はいつ聴いても良いものです。
大人になると失くしてしまうものを子供はきちんと持っていて、本当は失くしてはいけないものだと思い出させてくれます。
俺も思い出したい〜!!!!!!!!!(涙)

作曲:柏木広樹 / 編曲:光田健一
Cello:柏木広樹 / Chorus:“フレーベル少年合唱団” 熊谷風輝, 潮田隆成, 須藤富愛 / Piano, Keyboard & Programming:光田健一 / Flute:沢野茜

前作で『Lactic Acid』というチェロのデュオ曲を作ったことがきっかけで、これから時間をかけて4楽章形式のチェロ・デュオ・ソナタを作ろうと思い立ちました。
今回の作品はその第3楽章になります。
普通は第1楽章から作って順に4楽章に行き着くと思うのですが、その辺はまあまあ(笑)
この第3楽章はバロック・スタイルになっていて、最終的に4楽章形式にすることを完全に意識して作りました。
一緒に演奏してくれた植木昭雄くんとは長い付き合いで、テクニックも音楽性も素晴らしいのはもちろんですが、「こんなの楽しいよね!」という音楽のスペースの作り方を共有できる大事な存在で、レコーディングもメッチャ楽しいものになりました。
ところで、この曲は健ちゃんとの共作です(二人旅ではないのですが・笑)。
僕としては、なんちゃってバロックくらいの感じでやろうと思っていたのですが、アレンジされて戻ってきた譜面には、本来無かったはずの新しい部分が加わって、ガチなバロック音楽になっていました。
チェロの音と人間の声の関係性に敬意を評して、曲名を『Voice』にしました。

作曲:柏木広樹・光田健一 / 編曲:光田健一
Cello:柏木広樹 & 植木昭雄

今年公開された映画「雪の華」のために作った音楽の中の1曲。
親子の団欒のシーンに新しい曲が欲しいとのことで取り掛かったのですが、実はシーンを見た瞬間にすぐにこの曲が書けました。
良い画に、良いディレクションに、素敵な演技があれば、ふ〜っと浮かんでくるんだなあと、映画「雪の華」製作チームの皆さんに感謝感謝なのでありました。

作編曲:柏木広樹
Cello:柏木広樹 / Strings:“今野均ストリングス” / Programming:八巻誠


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柏木広樹「streamline」Made in musicasa 2021【Live】

柏木広樹「Spirit of the Forest」Made in musicasa 2021【Live】